インクルーシブ教育と発達支援
現在の発達支援はインクルーシブ教育という理念に基づいています。
インクルーシブ教育は、障害のある者とない者が共に学ぶことを通して、共生社会の実現に貢献しようという考え方で、2006年12月の国連総会で採択された「障害者の権利に関する条約」で示されたものです。
日本政府の批准は2014年1月20日付けで、国際連合事務局に承認されており、学校教育の発達支援はこの条約の考え方に基づいています。
インクルーシブ教育のメリット・デメリット
障害のある者とない者が共に学ぶインクルーシブ教育ですが、メリット・デメリットがあります。
インクルーシブ教育のメリット
障害を持つ子どもが通常学級で学ぶことで、他の子どもたちとの交流を通じて社会的スキルが発達し、また相互理解が深まり、共感や協力の姿勢が育まれます。
通常の環境で学ぶことで、将来の社会生活への適応能力が身につきやすくなり、実社会でも多様な人々と共に働くため、学齢期からその環境に慣れることは有益です。
インクルーシブ教育のデメリット
通常学級では、教師がすべての生徒に目を配ることが難しい場合があり、発達障害を持つ子どもに必要な個別の支援が行き届かないことがあります。
また、通常学級のカリキュラムやペースが合わない場合、ストレスを感じたり、学習意欲が低下したりする可能性があります。
さらに子ども同士の理解が十分でないと、障害を持つ子どもがいじめや孤立の対象となるリスクがあります。
分離教育のメリット・デメリット
とはいえ、実際に行われているのはインクルーシブ教育と対極にある分離教育です。
分離教育とは障害のある者とない者が共に学ぶインクルーシブ教育とは違い、障害のある者とない者を分離する教育のことで、現在日本の教育現場で行われている「特別支援学級」というのは典型的な分離教育です。
しかしながら、分離教育は必ずしも悪いことではなく、メリット・デメリットがあります。
分離教育のメリット
特別支援学校や支援学級では、子ども一人ひとりのニーズに合わせた指導が行われるため、個別支援が充実しています。
子どもの発達段階や特性に合わせた教育が行われ、学習の効果が高まります。
特性が重度の発達障害や知的障害を持つお子さんには効果的です。
分離教育のデメリット
一方でデメリットもあります。
分離された環境で学ぶことにより、一般社会での交流や社会的スキルの発達が遅れる可能性があります。
また、特別支援学校や特別支援学級に通うことが「特別扱い」と見なされ、子ども自身が他者との違いを強く意識してしまい、自己肯定感が下がることがあります。
まとめ
Re学院では、特性が重い発達障害や知的障害の場合は分離教育を取り入れた方がよろしいと考えます。
一方で、比較的特性が軽度な場合はインクルーシブ教育が適切だと思います。
Re学院の授業ではインクルーシブ教育を前提としたアコモデーション(合理的配慮)を行い、生徒の可能性を最大限に伸ばします。